『囲われし彼の白ブリーフ』木曜日の授業が終わると、僕はすぐに寮の部屋へ戻った。
部屋には誰もいない。
YくんもKくんも、部活に行っているのだろう。
荷物を置くとすぐに、一続きの部屋のYくんの領域へ入った。
Yくんも僕と同じように、洗濯物を部屋干ししていた。
洗濯ばさみのぶら下がった小物干しハンガーが3つある。
一番手前のものには、アウターを中心に干されていた。
次のハンガーにも、下着は干されていなかった。
目につきづらい一番奥のハンガーには、白い布が干されていた。
期待しながら近寄ると、それは白い肌着のシャツであった。
ちょうど外側を囲むようにして干された3枚の白いシャツは、なかなか着込んだもののようであった。
パンツが干されているとしたら、もはやこの内部しかあり得ない。
この干し方は僕と同じだ。
僕は、シャツや他の服などで囲むようにして白ブリーフを干していた。
もちろん恥ずかしさからである。
きっと、Yくんも同じことを考えたのに違いない。
歴史ある名店の暖簾をくぐるような思いで、胸を高鳴らせながら、白シャツに手をかけてめくり上げる。
白布で囲まれた空間もまた、白一色であった。
期待に違わず、Yくんは白のブリーフを穿いていたのだった。
ブリーフは3枚あり、いずれも、側面一カ所を洗濯ばさみで夾まれて、吊されていた。
そっと1枚に手をかけて、じっくりと見回す。
側面や尻の部分など、さすが洗濯されたもので、きれいに真っ白になっていた。
ただ、フロント部分の裏側、いつもYくんの大切な砲身を包んでいる部分だけは、自然な黄ばみがあった。
おそらく、中学の頃から穿き込んだものなのだろう。
そして、何度も洗濯を重ねてきたものであるに違いない。
裏側のタグの部分を調べると、グンゼ製の 160cm サイズのものであった。
長身のYくんには、些か小さいのではないかとも思ったが、体型は細身でひょろっとした感じだったから、問題ないのだろう。
残りの2枚も、同じようにして観察していく。
やはり、フロント裏側だけは自然な黄ばみがあり、いずれも 160cm サイズのものであった。
目で見て、手で触れるだけでは気持ちが収まらず、僕はYくんの白ブリーフに鼻を近づけてみた。
あの黄ばんだフロント裏側も含めて、洗濯された後らしく、良い香りであった。
できるならば、Yくんの白ブリーフを穿いてみたいとも思った。
だが、さすがにそこは踏みとどまった。
Yくんのベッドの下には、洋服を仕舞うためのケースが置かれていた。
罪悪感に苛まれながらも、僕はそのケースを開けて、中を見た。
下着類は入っていなかった。
干されている3枚に、今日まさに穿いている1枚を加えて、合計4枚の白ブリーフで回しているのだろう。
時はすでに 21世紀 である。高1で白ブリーフを穿いている者は、すでに稀少価値となっていた。
そんな中で、白ブリーフを穿いている稀少な2人が、寮でルームメイトになるなどということが現実に起ったのである。
考えれば考えるほど、これは奇跡に近いことなのではないかと思えてならなかった。
写真はイメージです。
実際には、僕もYくんも、白シャツで囲われた中に、白ブリーフを干していました。
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[C215] Y君に見つかってしまう