今年(2017年)は、ネット上で「ブラック校則」が話題となりました。
色々な校則が挙げられるのですが、過去の管理教育の事例を思えば、生ぬるいものばかりのようにも思えました。
1980年代の後半、管理教育の全盛期には、今となっては絶対に絶対にあり得ないような、突っ込みどころ満載の、とんでもない校則が現実に存在しました。
この記事では、究極の「ブラック校則」を余すところなくご覧いただき、その凄まじさに圧倒されていただくとしましょう。
あまりにも凄まじすぎて、一度では完結しません。何回かに分けて、お届けします。
註:筆者には、管理教育や体罰などの学校現場における人権侵害を、肯定したり奨励したり美化したりする意図は一切ありません。当ブログでは、以前に、
[管理教育小篇] 体操着には名札を縫いつけるべし! [管理教育小篇] 防寒着の使用は禁止! という2つの創作小篇を掲載しました。
これらの作品の元ネタとなったのが、はやしたけしさんの著書、『ふざけるな!校則(パート3)』の第5章に掲載された、とある公立中学校の校則です。
本の出版は1989年7月、したがって、ここに掲載されているのは、その少し前の校則ということになります。
ふざけるな!校則―負けるな!全国の中学・高校生へ!〈パート3〉
なんとなんと、35ページにも及ぶ、長大な校則です。
(一度では完結しないという理由が、お分かりになったことでしょう)
では、心の準備はよろしいですか?
究極の「ブラック校則」の世界へ、ご案内いたします。
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第2章 生徒心得
本校生徒は「我等の信条」及び「以下の諸規定」に基づき、常に自覚と責任をもって行動し、人格の向上と品位ある学校づくりに努めなければならない。
1.礼儀、態度 (1) 礼儀は人格の現れである。常に礼法を守り、節度ある行動をとること。
(2) 校内で先生や先輩、来訪者に会ったときは、正しく会釈すること。
(3) 校外で先生や先輩に会ったときは、立ち止まって声を出して挨拶すること。
(4) 挨拶〔会釈〕等の際の礼は次のように統一する。
(イ) 腰からまっすぐに上体を傾けること。背中を曲げてはいけない。
(ロ) 腰を曲げる角度は、頭の中心が相手の目の方へ向く角度とする。ただし、集会時等の多人数が一斉に礼をする時は、鉛直線から30度、腰より上の上体を傾けること。
(ハ) 女子は髪の毛がふさふさすると見苦しいので、ふさふささせないよう気をつけること。耳の横の髪が頭を下げたときにそっとびんの横に垂れるような礼をしなければならない。ショートカット〔もちろんおかっぱ頭〕にふさわしい礼のしかたを自分なりに考えて身につけておくとよい。
(ニ) 礼をする約2秒前から礼を終えた2秒後まで手は体側につけておくこと。もちろん、指先を曲げてはいけない。
(ホ) 礼をして頭を起こした瞬間に相手又は前に立っている指揮者の目を見ること。
(5) 職員室等の他人の室に入るときは大きな声で「失礼します。〔しました。〕」の挨拶をし、更に目のあったすべての先生に会釈をすること。
(6) 授業、集会の前後には、「気をつけ」「礼」「直れ〔又は着席〕」の号令に合わせて正しく挨拶をすること。号令は学級委員長又は集会の指揮者がかけること。
(7) 言葉遣いは、正しく丁寧にすること。流行語や方言の使用は厳禁する。親しい友達同士であっても必ず、標準語を使って会話を交わすこと。
(8) 目上の人や先輩、異性と話をするときは、正しい敬語を使うこと。
2.服装、身だしなみ《 頭髪規定 》
(1) 男子・特別な理由がない限り丸刈り。髪の長さは二分刈り〔約7mm〕以下とする。
※ 特例の判断は担当職員の話し合いによる。部分的に髪の毛がない等の身体上の特徴は、特例の対象にはならない。
(2) 女子・下記の通り「おかっぱ頭」とする。
(イ) 全ての髪を、生えているままの状態でまっすぐに下すこと。
(ロ) 前髪は、眉より上で、完全な一直線に切りそろえること。常に眉より上に肌が見えなければいけない。
(ハ) 残りの髪は、全て、襟〔あごの最上部から水平に結んだ線〕より上で、完全な一直線に切りそろえること。
(ニ) 全ての髪の長さは、上記(ロ)(ハ)の2段階の長さでなければいけない。後ろへ行く程長い刈り方や刈り上げのような長さが2段階でない刈り方は絶対禁止する。長髪は認めていない。
(ホ) パーマやカールは絶対禁止、問題外である。分けたり変形変色、結束はもちろんリボンやゴム、ピン止めもしてはいけない。常に、上記(イ)の通り生えているまままっすぐに下した髪型でなくてはいけない。例外は認めない。
(3) 男女とも、中学3年間、家でも上記(1)(2)の髪型で過ごすこと。例外は認めない。
(4) 男女とも、クセ毛〔色、変形等〕の者は、「クセ毛届け」を指定理髪店にて発行してもらい証明書は常に、持ち歩くこと。
(5) 男女とも、月に一度は髪を刈ること。特に女子については次の通りとする。
・ 月に一度髪をおかっぱに刈る。
・ 前髪をこのように短く刈り、あとはあご以上〔地面に対して上、つまり短く〕の長さで刈りそろえる。
なお、髪を刈るときは、指定理髪店で刈り、学校に「整髪届け」を提出すること。
(6) 頭髪検査は、毎週月・水・木・土の朝又は、予告なく行う。男子は7mm幅の板を頭に置き、髪の毛の方が長い時は、指導されることもある。女子は、糸等で「長さ」「2段階か」「一直線か」を調べ、必要ならば指導を行うこともある。
《 服装規定 》
(1) 男子制服 〔冬服は指定店なし。夏服は指定店制。ただし、指定店でも冬服を扱っている。〕
(イ) 冬服上・下、夏服下は標準学生服とする。
(ロ) 合格標準学生服には認証マークがついている。理由のいかんにかかわらず認証マークのないものは認めない。
(ハ) 服地はサージとする。 ※ 価格は約3万円である。
(ニ) 夏服上は女子と同じとする。
(ホ) 夏用に薄い布地で作られた標準学生ズボンはサージとは言い難いので禁止する。
(2) 女子制服 〔指定店制〕
(イ) 本校で採寸申し込みをし、直接指定店で受け取ること。
(ロ) 合格女子制服には、本校の校章がついている。理由のいかんにかかわらず校章のないものは認めない。なお、校章は上・下各3ヶ所についており、一度外すとおそらくつかない。何らかの事情で外れた時は、そのままの状態で届け出ること。意識的に外してはいけない。
(ハ) 細部は、採寸及び服装検査の指示に従うものとするが、特に下記の点に注意すること。〔服装検査は毎日1・2回行なう。〕
・ スカートの床上は、身体上の特徴にかかわらず、30cm〔±1.0cm〕とする。ひだ数は、24〔±0〕とする。
・ ネクタイ〔ボウタイ〕を着用すること。結び方は、昆虫のちょうに例えて、「ひげ」と「羽」の長さが同じになるようにすること。
・ 一切の飾り付けをしてはいけない。
(3) 男女とも、夏服・冬服とも、胸ポケットの最上部に名札を縫い付ける。同時に胸ポケットの口もふさぐこと。名札は一人につき5枚配布する。
(4) 男子夏服及び女子夏服・冬服ともの名札の下1.0cmのところに、下図の通り校章・学級章を付ける。
(5) 男子冬服には、上図の通りカラーに校章・学級章を付ける。ポケットには付けない。
(6) 男女とも、夏服冬服とも、役員の者は役員章を付ける。付ける位置は、上記(4)(5)の学級章の下とする。
(7) 男女とも、靴下は学校指定とする。所定の枠内に正しく記名すること。男女とも、理由のいかんにかかわらず、学校指定靴下を「くるぶし」の真横で三つ折りにして着用すること。
(8) 男女とも、雨天時の靴下の着用を禁止する。理由のいかんにかかわらず靴下を着用してはいけない。寒くても裸足で靴〔上履・下履とも〕を着用すること。
(9) 本校では、靴下だけでなく、以下にあげるもの・及びその他の衣料品は全て、学校指定とする。下記のもの以外は、理由のいかんにかかわらず着用してはいけない。
(イ)男女共、ベルト〔校章入り。学年色〕
(ロ)男女共、夏服・冬服共、体育用制服。〔校章入り。学年色〕
(ハ)全ての下着類及び着用物。〔校章入り。全て白〕
(二)各種靴類。〔所定の枠内に正しく記名すること。〕
(10) 男女とも、夏・冬とも、カッター・ブラウスの下には本校指定のシャツ・スリップを着用すること。
また、ズボン・スカートの下にも正しく本校指定肌着を着用すること。
2重に着用したり、短パン・ブルマを着込んだりしてはいけない。
(11) 男女とも、冬服の下には夏服〔カッター・ブラウス〕を着用すること。特に、男子で冬服の下に、本校指定以外のカッターやTシャツを着用することがないように注意すること。
(12) 体育用制服の名札は大型ゼッケンタイプとする。詳しくは、別紙を参照のこと。
(13) 男女とも、手袋・コート・マフラー・セーター等の防寒具及びこれに類するものは絶対禁止する。特に、カイロやリップクリームを使用したり、下着を2重に着込んだりすることが絶対にないよう注意すること。但し、女子に限り、本校指定ベストを冬服の下に着用しても良い。これ以外は認めない。
(14) 制服指定店については別紙を参照のこと。
(15) 服装検査は、毎日1・2回行う。主に認証マーク・校章マークについて調べるが、合わせてスカート床上等重要部分の計測も行うので注意すること。また、検査中は時間内に終わるよう協力すること。
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いかがでしょう?
突っ込みどころ満載ですね。
礼の仕方を「統一」するって、機械制御じゃあるまいに、無理ですよ。
方言の禁止ってのも変な話です。地域の文化は大切にしないといけないのに、何を考えているのやら。
男子は全員丸刈りですよ! 当時はそういう公立中学はたくさんあったんですが、今となっては信じられませんよね。
(しかし、ほんの数年前までは、丸刈り校則のある公立中学が現存していたという事実も……)
下着類も学校指定品&校章付きってのは凄まじいお話ですが、これって、そもそもどこで生産していたのでしょうね。
白ブリーフにわざわざ校章をプリントして販売していたのでしょうか。
雨の日は靴下ダメとか、理由がまったく想像できませんね。意味不明すぎて笑えてきます。
全体を通じて、「理由のいかんにかかわらず」とか「例外は認めない」とかいった記述の多いこと多いこと。
まだまだ序の口です。
次回に続きます。
礼儀や言葉遣いは大切だとは思いますが、何でも型にはめて自分の意志や個性を持たさず、規律を守らせるのは、軍国主義の名残なのか不良生徒にならせない為の対策なのかは分かりませんが、管理教育とはまさに軍隊と同じだと思います。
丸刈り校則と下着は白ブリーフ、シャツ、靴下は1990年代初頭まであり、私が中学卒業と同時に丸刈り校則は廃止になりました。